グナワーモロッコ聖なる治癒の音楽

「私の色は青なんだ。」

インタビューの中で、ランディはこう切り出した。

「人はそれぞれ特定の色を持つ、いや人だけでなく、音も、歌も、すべてが色をもっているんだ。それを私はモロッコのグナワという、素晴らしい伝統的な音楽家たちから学んだんだよ。」

この話を聞いた瞬間に、私は痺れるような、興奮を覚えざるを得なかった。

なぜならそれは、私自身が死にもの狂いでやって来た、いのちの探求と、深く結びついていたからだ。

話を続けるようにうながす私を前に、ランディは次々と、胸躍るような事を語った。

「グナワの人々が行なう、２日間に渡る彼らの伝統的な儀式の中で、250もの聖なる曲が演奏される。そのすべての曲に、色がついているんだ。それは心身の調子が崩れてしまった人達のための、治癒の儀式でもある。延々と演奏されるその強烈な聖なる音楽の中で、人々は踊り、トランスに入り、時には気絶し、そして治癒されるんだ。」

「私はその中の、ブルーモーゼスという曲に、私は強烈な反応をしめした。その曲の色が、青なんだ。

誰もがどれかの曲に、必ず反応を示す、それが彼・彼女らの色なんだよ。」

にわかに信じられないような話だったが、私には、心深く、納得せざるを得ないものがあった。

なぜなら私自身が、音・音楽に、色彩の感覚を覚え、逆に、動きや他の視覚の情報に、音楽の源のようなものを知覚していたからだった。

そしてそれらを感知する瞬間は、必ず、日常の感覚よりも、より深く、強烈なものだった。

目を爛々と輝かせて聞いている私に、ランディは、

「君は画家だろう、それはモロッコに来ないと行けないよ。必ず素晴らしいことがある。」

その言葉に、

「是非！必ず行きます！！」

と、ほとんど反射的に、叫んでいた。

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ランディが世界的名声を博するようになった、代表的アルバム『Blue Moses』 (ブルーモーゼス)