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ランディ・ウエストン ー この偉大なる音楽

2018年 2月24日、偉大なる音楽家、生きる伝説、ランディ・ウエストンの新アルバムが、京都の自宅に届いた。それはまさに、ニューヨークで、このアルバムのリリースコンサートが行なわれようとしている、その当日だった。偶然の符号に驚き、喜びを隠せずに、私は封を切り、音を流し始めた。瞬く間に深く、強烈に、そして優しく広がる、その宝石のような音の海へと、飛び込んだのだった。

世界各国で、これまで数限りない受賞、勲章に輝き、コールマン・ホーキンズ、アート・ブレイキー、ディジー・ガレスピー、ファラオ・サンダースなど、ジャズの歴史そのものと言えるミュージシャン達が、彼の音楽を愛し、そのアルバムに参加してきた。しかしいくらこの輝かしい経歴を並べたところで、私の中の、彼の偉大さは言い表せない。

そのあたたかい声、包み込むようなオーラ、繊細なユーモア、優しさに満ちたあふれた笑顔。そして謙虚さと同時にある強靭な精神力。そのすべてを持ってして彼は、その音楽の深みへと一身に潜り込む。そしてとてつもない豊かな宝を汲みあげ、私たちへと捧げもって来るのだった。

それはまるで、太古のシャーマンの姿さへをも彷彿とさせる。彼のその音楽を聞いていると、まるで時空間をこえた、無重力の場のようなところに解き放たれ、何か神秘的な体験をしているような気にさえなって来る。

音楽の、そして芸術の本来の使命とは、こういうものだったのではないかと、彼の音楽はまざまざと伝えてくるのだ。

“Music is the healing force of the universe.”

『音楽とは、この世にもたらされた、宇宙の治癒の力なんだよ』

数ある彼の口から伝えられた、印象深い言葉の中でも、もっとも私の心に残るものが、これだった。音楽を、芸術全般とここで言い換えても良いと思う。このアルバムが届いた日は、私自身、生活のための仕事を一旦止め、また深く創作を再開しようとした、まさしくその日だった。

彼の音楽のような、まるで祈りそのもののような、そんな作品が立ち現れるのには、どうすればよいのだろう。

祈りとは、無限へと、そして絶対の自由へと、解き放たれようとする、深いところにある、我々の意志、秘められた力なのではないだろうか。

ランディに、そしてその、無限へと導く、祈りそのものの力に、心からの感謝を捧げて。


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