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シャニ・ディリュカ = 初めての出会い


 シャニ・ディリュカ、思えばこの素晴らしいピアニストとの出会いも、不思議な出来事で満ちあふれていた。友人宅にて、バーベキューをしながら、彼女が一体誰なのか知らないまま、私たちは話しはじめていた。

 会話のはしばしから、どうも彼女がピアニストであるらしいこと、そして今、制作中の新しいアルバムが、ジャック・ケルアックの伝説的小説、『オン・ザ・ロード』からインスピレーションを受けてつくられているという、非常に興味深いものであることなどを知る。文学のみならず、絵画、哲学、宗教的思考、あらゆるものからの影響を、彼女は深く、一身に受けていた。そしてそれを、音楽へと、昇華させていたのだった。

 きらきらと良く光る、輝くような大きな瞳で、どんどん話しかけてくるシャニ。興味が興味を呼び、お互いの関心のある核心部が響き合い、会話は果てる事なく続いて行く。

 詩や小説、そしてなにより音楽からの深い影響をもとに、絵画や写真といった作品をつくり続けていた私から見れば、彼女はまるで、合わせ鏡のような存在だった。文学や視覚芸術などからの深いインスピレーションを得て、音楽を生み出してくる彼女が。

 そしてその日、宴も最高潮に達し、酔いが回ったみんなに促されるがままに、彼女がそこにあるピアノで音を奏で始めたとき、その瞬間、私は深い感動で、打ちのめされた。弾き終えた瞬間、涙が溢れ出そうになり、慌ててトイレへ駆け込んだ。それほど深く、美しい演奏だった。

そのシャニが、なぜか、私とその作品に、興味をもってくれた。

『いつかあなたの作品を、見てみたいです。』

『うん、そうですね、機会があれば、また是非。』

そう言ってくれた彼女に、私はこう応えたのだった。

その機会がすぐに訪れて、そしてまったく思いもしなかったような展開へと、導かれ、発展して行くとはつゆ知らずに。。 


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